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お薦め本『火山噴火・動物虐殺・人口爆発』石弘之(洋泉社歴史新書)

サブタイトルは「20万年の地球環境史」です。
著者の石弘之氏は、東京農業大教授。元朝日新聞記者で、ザンビア特命全権大使などを務めてきました。環境問題研究の第一人者です。石氏の著書の中でも、本書はコンパクトにまとまっており読みやすいものに仕上がっています。

火山噴火・動物虐殺・人口爆発 (歴史新書y)

素朴に「農業はよいものだ」と思っている人や、環境問題解決に淡い期待を抱いている人は、本書に書かれている恐るべき現実にショックを受けるはずです。

地球環境問題の原点は、15世紀以来のヨーロッパ世界の膨張に求められると、著者は主張します。急増する「人口を養うため、森林を開墾し、急傾斜の山麓地帯や乾燥地にまで農地を広げ、草地を牧場に変え、地表は人類のためだけにつくり替えられてきた」(82ページ)のです。

農業では、あらゆる大陸で土地を痩せさせるようなひどい使い方をしてきた歴史を紹介しています。スイスの今の美しい景観は、森林や草原などをすべて人工的に復元したからだという過去の歴史を知れば、だれもが驚かざるをえないでしょう。景観を台無しにしながら、花粉症ばかりを増やしてきた日本の造林事業が引き合いに出されています。

陸だけにとどまらず、海でも乱獲して水産資源を枯渇させてきました。
「タラ」のようなよく知られた魚が、もはやまともに取れないのを知っていますか?

地球の歴史上、現在は種の大量絶滅時代に突入しています。
今世紀中に地球上の半分の種が絶滅するとの予想まであります。
その要因が人類に起因していると知れば、どのような印象を持つでしょうか?

今世紀最大の問題と言われている「感染症」の爆発的拡大と深刻化も、人類のこれまでの「所業」に大きく関わっていると理解できます。

最終章では、人間がまったくコントロールできない火山噴火の話題が取り上げられています。本書が出版されたのは、ちょうどアイスランドの火山噴火のときでした。執筆時期は、もちろんそれ以前ですので、ここにも著者の洞察力の鋭さを感じられます。

余談(?)ですが、これまで「環境問題」について書かれたESをたくさん見てきました。
しかし、こうした人類の「所業」を知った上で書いた人は誰もいません。大学や大学院で研究している人までいるのに、とても不思議です。重要な事実を知らないで書いているのですから、内容はすべてお粗末なレベルどまりです。

そもそもESに「環境問題」をまともに書こうとすることは、恐れを知らない無謀な試みだといってよいでしょう(笑)。

企業はどういうものかをよく研究した上で、書く内容を決めるべきなのです。

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